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(これからお話しするストーリーは手続を説明するためのフィクションであり、「ミナト木材加工株式会社」も特定の会社を想定したものではありません)
イントロダクション
A氏の場合①

2 法律事務所に電話した

A氏は、会社の名称などを簡単に伝えた上で、現在会社の資金繰りが急速に悪化していること、長年取引を続けてきた取引先から突然取引の停止を通告されたため、月末の支払ができないこと、できるだけ早い時期に弁護士と相談したいこと、などを説明した。
焦っていたため、うまく伝わったかどうか心配であったが、少なくとも急ぎの相談であることは理解してくれたようだった。

電話口で応対してくれた女性は、しばらく弁護士と相談し、近い日時で相談日程を調整してくれた。

また、同時に、弁護士からの指示ということで、直近5期分の決算書と登記事項証明書、銀行預金通帳、そしてできればということではあったが、金融機関から借入をしている場合は借入残高と返済額がわかるような資料、取引停止を通告された取引先の通知書やその他の関連書類、最後に会社の代表者印なども持ってくるように言われた。
また、従業員に対しては、必要がない限り、資金繰りが悪化していることや弁護士に相談しに行くことなどといったことは話さないように念を押された。

A氏は、早速、経理を担当する従業員に対し、決算書、登記事項証明書、最新記帳した銀行預金通帳、銀行との間で取り交わされた消費貸借契約書を用意するように指示した。
ただ取引先からの通知書については、担当の社員が出張で本社にいないため、必要な資料を集めることはできそうになかった。

慌ただしく相談の準備を続けるA氏であったが、これから会社がどんな運命になっていくのか、80年も続いたミナト木材加工株式会社を自ら潰すことになってしまうのか、もしも破産するとなったら裁判所ではどんなことを言われるのか、債権者から袋だたきに遭うのではないか、など、必要な資料を集め切れていないこともあり、様々な不安が繰り返し頭をよぎった。

不安は翌日になっても消えることがなかったため、再び法律事務所に電話したところ、慌てた様子を察してくれたようで、弁護士にそのままつないでくれた。
応対してくれた弁護士は、落ち着いた声で、次のように話してくれた。
次回に続く