千歳・大石法律事務所は横浜・関内の法律事務所です。

横浜・関内 千歳・大石法律事務所

当事務所は、法人・事業者の破産申立を数多く担当してきた実績があります。

また、法人・事業者の破産手続に関する破産管財人も、これまで多くの事例を担当してきており、破産の申立から破産手続開始決定後の手続についても多くのノウハウを有しております。

第1 当事務所の法人・事業者破産申立に関する基本的なスタンス

1 代表者との打合せを重視します。

 法人・事業者の破産手続は殆どの人が初めての経験であり、不安になるのが当然のことです。

 しかし、不安になる理由の多くが、将来のことが見通せないことにあり、その背景には情報不足があります。

 そこで、当事務所では、現状分析、将来の見通し、リスク等を丁寧に説明し、全般を理解してもらいながら、手続を進めて行くことを基本的な方針としています。

 なぜ、この書面を提出する必要があるのか、破産管財人はどうしてこのような発言をしたのか、債権者からの書面の意味は何か、それにはどのようなリスクがあるのか、について、一つ一つ納得しながら手続を進めて行くことで、代表者のみなさんの不安を少しでも軽減できるように努力いたします。

2 できる限りの迅速な申立を目指します。

 破産をする決意をしてから、破産手続の申立までの期間が長くなればなるほど、代表者やその他の関係者のストレスは増幅します。また、支払い停止後の会社については、財産をできるだけ保全し、これを破産管財人に引き継ぐことが求められますので、申立が遅延すると、その間の財産逸失のリスクが増えることになります。

 そこで、当事務所は、できる限りの迅速な申立を目指します。

 もっとも、債権回収が完了していない場合であるとか、訴訟手続が未完了である場合、その他種々の事情により、破産手続の申立が遅れる場合もありますが、この場合でも、なぜ手続が遅れるのかについての説明を十分にいたしますので、ご安心下さい。

3 申立から破産手続終了まで一貫した支援体制を保障します。

 破産手続は、申立までが一つの山ですが、それだけでは当然終わりません。手続開始後、手続が終了するまで、申立までの労力と同程度、場合によってはそれよりも多くの労力が必要となる場面もあります。

 この点、当事務所は、破産管財人の経験を多く有しており、裁判所や破産管財人の意図などを十分に理解した上で、適切な対応をとることが可能ですので、破産手続開始決定後も一貫した支援体制を構築することが可能です。

第2 依頼にあたって

1 法律相談の申し込み

 法律相談については、以下のリンクからお申し込みください。

法律相談フォーム

2 法律相談について

 法律相談につきましては、弁護士が、法人・事業者の事業内容から現在の資金繰り状況、債権者の状況や財産等についてお伺いいたしますが、詳しいところは改めての相談でお伺いしますので、手ぶらでお越しいただいても結構です。

 なお、実際に法律相談でどんなことを聞かれるのか、これからどんなことになるのか、について不安をお持ちになる方も多くおられますので、当事務所の代表がストーリー仕立てで破産手続の相談から申立までの流れを記しました。

 会社や事業の経営が苦しくなったら(A氏の場合)

 まず、このストーリーをお読みになってから当事務所にお越しいただければ、事務所の雰囲気を知ることができると思います。

3 事件の依頼

 まず始めにお伝えいたしますが、当事務所に対する法律相談が、即破産手続の申立やその前提となる委任を意味するものではありません。

 それぞれの法人・事業者にはそれぞれの事情があり、十分な話を聞かなければ破産相当かを判断することはできません。そもそも、資金繰りの次第によっては、任意整理や追加借入による救済の途もありますし、民事再生やその他の手続を適用する場合もあるでしょう。

 つまり、法律相談をしたからといって、そこですぐに何らかの決断が求められるわけではありませんので、ご安心下さい。

 以上のとおりでありますが、皆さまからの事情聴取を踏まえて、本件で破産手続を選択するしかないとなった場合は、率直にそのような意見を皆さまにお伝えした上で、手続を選択した場合の流れ及び予想される費用、時間、手続上のリスクについてご説明いたします。なお、当事務所では、原則としてその場で決断を求めたりすることはありません。なぜなら、初めて相談に来られた時点では精神的にも参っている方が多いですし、情報が一度に与えられると冷静な判断ができない場合が多いと考えるからです。

 そこで、改めて相談日程を調整しますので、それまでに家族や他の関係者に相談するなどしてください。もちろん、その間、電話いただければ質問にお答えいたしますので、ご不安な点がございましたら、なんでもお問い合わせください。

 このようにして、破産手続を選択することになった場合は、委任契約書を作成し、受任という形になります。

 なお、破産に関する費用については、ストーリーでは、日弁連の旧報酬基準(強制ではありませんが、今でも一般的に用いられている基準です)を基準に弁護士が説明していますが、事例によっては異なる費用となる場合もあります。どの場合でも十分な説明をいたしますので、ご安心下さい。

4 最後に

 当事務所の代表弁護士は、これまで、「失敗した人に再チャレンジの機会を」を目指して弁護士業務を続けてきました。

 誰もが長い人生の中で多かれ少なかれ失敗や挫折をします。しかし、我が国では、こうした失敗や挫折に対しておおらかではないように感じます。

 特に破産については、「世間体」という言葉でも表現されるように、ネガティブなイメージがつきまといがちです。

 こうしたイメージに対して、破産を再チャレンジの機会と捉えることで、前向きに捉えることはできないか、 前向きな意識をもつことで、少しでも心の解決に 近づけないであろうか、というのが、代表弁護士の思いです。

 もちろん、実際の破産手続は理想とは裏腹な部分はあり、精神的にも大変な部分がありますが、このような当事務所の基本スタンスに少しでも共感できる部分がありましたら、法律相談にお申し込みいただければと思います。

法律相談フォーム

  


(これからお話しするストーリーは手続を説明するためのフィクションであり、「ミナト木材加工株式会社」も特定の会社を想定したものではありません)

イントロダクション

A氏の場合①

A氏の場合②

A氏の場合③

A氏の場合④

A氏の場合⑤

A氏の場合⑥

A氏の場合⑦

A氏の場合⑧

A氏の場合⑨

A氏の場合⑩

A氏の場合⑪

A氏の場合⑫

12 破産手続の申立

A氏は、従業員に解雇の通知をしたあと、経理担当の役員とともに社長室に戻り、しばらくしてから弁護士が部屋にやってきた。

「従業員の解雇は滞りなくできましたか?」

「どのように受け止められたかは分かりませんが、用件だけは伝えることができました」

「私も心配だったので、いつでも会社に行けるように近くで待機していたのですよ。とりあえず混乱はなかったようですね」

「混乱はありませんでしたが、正直つらかったです」

「心中お察しいたします。でも、そのような状況でも、社長としての職責を全うできたのですよね。尊敬いたします。」

A氏には涙があふれた。しかし、涙を拭く間もなく、A氏にはやらなければならない仕事があった。

まずは、弁護士から指示されたとおり、受任通知を送付する金融機関や売掛先等の債権者の整理をし、未払公租公課を抽出した上で、それをエクセルのファイルにまとめた。

また、集金が済んでいない買掛先のリストもファイルにまとめた。

従業員の一覧表や、出勤台帳等の書面もパソコンから打ち出した。

経理担当の職員に依頼し、従業員の離職票の作成にもとりかかった。

次に、工場に移り、置かれている什器備品、機械の目録を作成した。多くは決算書に記載のあるものだったが、中には記録から漏れている機械もあり、その特定には苦労したが、困っている社長を助けようと、少しずつ従業員が手をさしのべてくれたお陰で、何とか、その日のうちに目録の作成が完了した。

その他、金庫から、建物の賃貸借契約書や会社名義の預金通帳、代表者印等の印鑑類を取り出した。

パソコンは、リース契約であったので、このままではリース会社にパソコンが回収されてしまい、データが消えてしまう虞があった。そのため、経理担当の従業員がマニュアルを片手に、会計ソフトのデータを取り出す作業を行った。

一通り書面の整理をしたあと、A氏は取締役である妻に社長室に来て貰った。

そして、妻に、本日会社の営業を終了すること、破産の申立を行うことを改めて伝え、決議をした上で、取締役会議事録の作成を行った。

翌日、整理した書類や印鑑等の重要書類、議事録等を持参の上で、経理担当の従業員を伴い再び弁護士事務所に向かった。

弁護士と協議の上で、破産の申立は2月20日に行うこととし、2月1日には、各債権者に受任通知を行うこととした。

その後、弁護士とは、連日連絡を取り合いながら、破産手続開始決定申立書やその付属書類、証拠書類等の準備を行った。

A氏はこれまで精神的に行き詰まっていたが、弁護士から言われたとおりに書面の準備を行い、連日弁護士と打合せを行い、質問などに答えたりするうちに、少なくとも、バックギアからニュートラルくらいには心の切替ができるようになっていた。

当初は、書面なども色々と作らなければならないのではないかと思っていたが、大半の書面は弁護士と勤務弁護士が作成してくれるので、ほんの一瞬ではあるが、会社のことから離れることができることが嬉しかった。

A氏は僅かではあるが心の余裕ができたので、知り合いに電話をするなどして、従業員の再就職先などの情報収集なども行うようになった。

A氏としては特別な感情をいだくこともなく、 申立書の提出予定日である2月20日が到来した。

「これから、裁判所より破産手続の開始決定が出ます。そして、裁判所より、破産管財人が選ばれます。実はここからが後半戦になります。気を引き締めてやりましょう。」

破産管財人によっては、厳しい追及がなされる場合があるとも噂で聞いていたので、A氏としては、その点だけが不安であった。

(前半終わり)。


(これからお話しするストーリーは手続を説明するためのフィクションであり、「ミナト木材加工株式会社」も特定の会社を想定したものではありません)

イントロダクション

A氏の場合①

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A氏の場合③

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A氏の場合⑥

A氏の場合⑦

A氏の場合⑧

A氏の場合⑨

A氏の場合⑩

A氏の場合⑪

11 従業員への説明

1月30日午後5時30分、A氏は、工場建物の2階にある会社の会議室に従業員を集めた。

「皆さんにお知らせしなければならないことがあります。」「我が社はこれまで長きにわたって、木材の製造加工を続けて参りました」

従業員がざわめいた。いつもと違う言葉が続いたからである。

「ところが、昨今の経済状況により、我が社の売上げは徐々に減って参りました。それは皆さんもうすうす分かっていたことと思います。」

「これまでは、借入を増やし、会社にあった資金を少しずつ食いつぶしながら、やってきました。何とかなるはずだと。」

「でも、税金の滞納も重なり、客先からも損害賠償が来るなど、将来に向けての営業の見通しがたたなくなりました。」

「そこで、突然で申し訳ないのですが、本日をもって我が社の営業を終了し、会社を破産させることにしました。」

「すでに、弁護士の先生に破産手続を依頼しており、予定としては、来月には破産の申立を裁判所にする予定です。」

「なお、本日付をもちまして、皆さんを解雇いたします。これまでの給与及び解雇予告手当はお支払いたします。」

「また、離職票等、必要な書類も滞りなくお渡しいたします。」

「以上のとおりになりますが、社長の私から一言お話しいたします。」

「日本の産業構造の変化、景気の悪化もありますが、ひとえに責任は経営者である私にあります。先代から事業を引き継いでこれまでやってきましたが、このようなことになってしまい、皆さんには大変申し訳ございません。」

A氏はこのように述べて、頭を下げた。

従業員は一様に驚いた様子であったが、突然の言い渡しに、理解に時間がかかっている様子であった。ベテランの従業員が口を開いた。

「社長。私たちの生活はどうなるんですか?退職金はどうなるんですか?」

「退職金については、中退協から支払われる分については、保障されますが、現段階ではそれ以上の支払いはお約束できません」「なお、未払い給料や退職金は、一定の条件の下で未払賃金立替払制度の適用がありますし、破産手続になった後、他の債権よりも優先して支払われる余地がありますが、今の資金繰りではどこまで支払いができるか・・・」

A氏は、そう話しながら少し言いよどんだ。ベテランの従業員は黙って聞いていた。納得をしていないことは見ても明らかであったが、仕方がないという従業員の空気に押されたのか、再び口を開くことはなかった。

「営業は今日で終了です。建物の明渡しなどもありますので、皆さんは、今週末までに私物を持ち帰って下さい」

従業員は一同無言で荷物を片付け始めた。

しばらくしてから、従業員の一人がA氏の元に近寄ってきた。

「社長。大変でしたね。私、会社のことに本当気が付かなくて。申し訳ありませんでした。これからまたどこかで会える日を楽しみにしています」

A氏 は涙を抑えられなかった。

次に続く


借金問題により、とても精神的な負担を抱えている方、専門家に相談することで、その負担を大きく減らすことができます。

 まずは弁護士へ依頼  ⇒  借金の取り立てがストップ

借金問題を解決する方法はいくつかあります。その方法の概要は下記のとおり。
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(ご希望の債務整理方法をチェック) 

任意整理      小規模個人再生       自己破産

 

(状況により債務整理方法をチェック)

返済困難ではないが経済的に余裕がない方

返済が困難な方

 

【債務整理の内容】

任意整理: 弁護士が債権者と協議し、分割方法支払いの方法を決定します。
(通常の場合)
 債務額:変動なし
 分割期間:3~5年
 分割支払中利息:つかない

小規模個人再生: 裁判所に申し立てをして、返済計画を立てます。
(通常の場合)
 債務額:大幅にカット
     ただし、現在の保有資産額や100万円を下回りませ ん。
 分割期間:3年
 分割支払中利息:つかない

自己破産: 裁判所に申し立てをし、公租公課などを除く債務の免除を求めます。
(通常の場合)
 債務額:公租公課などを除き、全額カット(免責)
     非常に悪質な事情がある場合に免責が認められないことがございます(犯罪で生じた債務など)。


(概要)
任意整理: 弁護士が債権者と協議し、分割方法支払いの方法を決定します。
(通常の場合)
 債務額:変動なし
 分割期間:3~5年
 分割支払中利息:つかない

【任意整理の流れ】

1.弊所でのご相談・受任

2.弁護士から債権者へ債務整理の通知(【1】から1週間程度)

3.債権者からの取り立てストップ

4.債権者から弁護士へ債権届(【3】から2週間~2か月程度)

5.弁護士と債権者とで、分割支払方法など協議

6.支払方法の決定=合意書の作成(【5】から2週間程度)

7.翌月から分割支払をスタート


借金の返済が困難な方につきまして、以下の状況により、適切な債務整理方法を整理しておりますので、それぞれクリックしてください。

 

居住不動産を所有し、安定した収入がある方

→小規模個人再生手続へ

居住不動産を所有していない方、又は、安定した収入がない方

→破産手続へ


(概要)
小規模個人再生: 裁判所に申し立てをして、返済計画を立てます。

(通常の場合)
債務額:大幅にカット
ただし、保有資産額や100万円を下回りません。
分割期間:3年
分割支払中利息:つかない

(主な要件)
・安定的な収入があること
・債務が5000万円以下であること
など

(特徴)
居住用不動産を所有している場合、ローン債務は手続の対象から外す(債務カットの対象外)ため、不動産を残して債務整理をすることができます。
ただし、ローン債務のほかの債務を担保する抵当権が付されている場合などは、居住用不動産を残す方法を利用できません。
また、大幅なアンダーローン不動産である場合(ローン残高≪不動産価値)、保有資産額が大きくなり、債務カット幅が大幅に減少するため、小規模個人再生手続を選択するメリットが減少します(状況により、任意整理が望ましくなります。)。

【小規模個人再生の主な流れ】

1.弊所でのご相談・受任

2.弁護士から債権者へ債務整理の通知(【1】から1週間程度)

3.債権者からの取り立てストップ
ただし、居住用不動産のローンの支払いは継続

4.債権者から弁護士へ債権届(【2】から2週間~2か月程度)

5.依頼者様から弁護士へ必要書類を提出

6.申立書類の準備・小規模個人再生の申立て(【5】から2週間程度)

7.分割返済のテスト(依頼者様から弁護士へ一定額を毎月振り込んでもらい、分割返済が可能であることをテストします。)

8.債権者から裁判所への債権届出等

9.再生計画案の提出

10.再生計画の認可

11.分割支払スタート


自己破産: 裁判所に申し立てをし、公租公課などを除く債務の免除を求めます。

(通常の場合)
 債務額:公租公課などを除き、全額カット(免責)
     非常に悪質な事情がある場合に免責が認められないことがあります(他者を騙して借入れした場合、破産手続への協力を拒否した場合など)。

(特徴)
返済が困難である場合に、公租公課を除く債務の免除を求める手続です。
事情に応じて、簡易な手続(同時廃止手続)と、破産管財手続に分かれます。
同時廃止手続は、債権者へ配当できるだけの資産がなく、免責不許可事由がない場合などに取られる手続です。
破産管財手続は、資産を換価して債権者に配当する場合や、免責不許可事由があり裁量免責が相当か調査する場合など、裁判所が破産管財人(弁護士)を選任して、これらの換価・配当や調査を行う手続です。
破産管財手続では、破産管財人の費用に充てるため、20万円を納める必要があります。

【自己破産の主な流れ】

1.弊所でのご相談・受任

2.弁護士から債権者へ債務整理の通知(【1】から1週間程度)

3.債権者からの取り立てストップ

4.債権者から弁護士へ債権届(【2】から2週間~2か月程度)

5.依頼者様から弁護士へ必要書類を提出

6.申立書類の準備・自己破産の申立て(【5】から2週間程度)

 

【同時廃止手続の場合(【6】の後】)

7.早期面接【弁護士のみ】(【6】から10日程度)

8.同時廃止決定(破産手続終結)

9.免責審尋【弁護士・依頼者様で参加】

10.免責許可(【9】から10日程度)

 

【破産管財手続の場合】(【6】の後)

7.破産管財人面談【弁護士・依頼者様で参加】

8.破産管財人による資産換価・免責調査

9.債権者集会【弁護士・依頼者様で参加】(【6】から3か月程度】

10.配当手続又は異時廃止(配当なし)と免責許可     

※ 債権者集会は、必要に応じて複数回にわたって実施され、すべてが完了した場合、【10】の配当手続又は異時廃止に進みます。


(これからお話しするストーリーは手続を説明するためのフィクションであり、「ミナト木材加工株式会社」も特定の会社を想定したものではありません)

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A氏の場合⑨

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弁護士は説明をしながら委任状を読み上げた後、

「まだ他に分からないことはありませんか?」

とA氏に話しかけた。

A氏は、委任契約の内容については良く理解したが、最後に1点確認しておきたいことがあった。

従業員のことである。

「それで先生。最後に確認したいのですが、従業員はどうなるんでしょうか?」

弁護士は委任契約書が書かれた書面を脇において、おもむろに話し始めた。

「従業員の皆さんには最大限配慮しなければなりません。ここまで会社をもり立ててくれたのは他でもない従業員のお陰ですからね。」「特に給与の点ではこの状況であっても優先的に支払う必要があります」

「破産手続においても、給与債権は破産手続開始3か月前までのものについては最優先の債権である財団債権とされており、それ以外のものについても優先破産債権となり、他の一般破産債権よりも優先して配当を受けることができます。」

「ただ」

「ただ?」

「給与債権は破産手続き上財団債権又は優先破産債権であるとされますが、支払うべき財産が十分でない状況で給与を支払ってしまうと、その効果を破産管財人に否定されてしまうこともあります。」

「ですので、給与の支払いをする場合は、会社に営業が終了したとしても、それらを支払えるだけの十分な資力がある必要があります」

「今なら何とか解雇予告手当も含めて給与を支払うだけの余力はあります」

「それで、解雇はいつのタイミングでするのでしょう。とても心苦しいです」

「一般には、事業を停止した日に行われますが、売上が発生する業務が仕掛かりとして残っているような場合は少し解雇を遅らせることがあります」

「1月30日に全ての製品の納入が終了します。もう少し待てば新たな発注もあるかも知れませんが、私としてはこのタイミングで事業を停止し、この日に工場の稼働を停止しようと考えています」

「分かりました。それでは1月30日に営業を停止することとし、同時に従業員の解雇を通知することにしましょう。」

「今後の支払いはどうしますか?」

「少なくとも業務停止後の支払いは、破産管財人によってその効力を否定されることになります。そうでなくても、今の段階での支払いは破産手続き上問題がありますので、控えて下さい」

「そうすると、業者から色々と督促の電話や手紙が来て大変です」

「私から今回の手続について弁護士が受任したことを内容とする受任通知を各債権者に送ります。その後は専ら私宛に連絡が行くことになりますので、一つ一つ対応する必要がなくなりますよ。ただ、それでも連絡をしてくる業者はいますし、そもそも受任通知を送付すると破産手続に入ることが知れることになるので、通知のタイミングについてはこれから相談しましょう」

「個人の破産の件も含めて、他に分からないことがあったら、教えていただけますか?」

「もちろんです。今までは一般論が中心でしたが、今後は具体的な事情に即してお話しができると思いますよ」

A氏は委任契約書に記名捺印をした。その後、予め依頼されていた書類一式を弁護士に渡し、ひとしきり話をした後に事務所を出た。

その後A氏は、会社に戻り、監査役に破産手続に移行することを伝えた。

監査役のC氏は、最初驚いた様子であったが、会社の財務状況や損害賠償請求の話については十分A氏と話し合っていたことから、その全てを受け入れ、破産手続に協力することに同意した。

1月30日を迎えた。

次に続く


(これからお話しするストーリーは手続を説明するためのフィクションであり、「ミナト木材加工株式会社」も特定の会社を想定したものではありません)

イントロダクション

A氏の場合①

A氏の場合②

A氏の場合③

A氏の場合④

A氏の場合⑤

A氏の場合⑥

A氏の場合⑦

A氏の場合⑧

A氏の場合⑨

10 決断

A氏は、再び弁護士事務所の元を訪ねた。一昨日と同じように愛想の良い事務員が会議室まで通してくれた。

遠くで弁護士が何かを話している声が聞こえたが、何を話しているかは分からなかった。

5分程して弁護士が少し笑みを浮かべながら会議室に現れた。

「いらっしゃい。少し遅れてごめんね。ネットであなたの会社のことを調べてたのでね。」「で、どうする?」

A氏は2日間家族と相談し、税理士と相談し、数少ない会社内の事情を知っている社員と相談した。少しでも会社の存続の可能性があればどんな手段を使ってでも存続させたかった。

ネットでも色々なことを調べた。商工会議所の職員にも電話し、中小企業再生支援協議会の存在も教えてもらった。国税当局との交渉で滞納税金の減免がはかれないかも考えてみた。

その他、民事再生手続や会社更生なども考えた。

しかし、会社は元々収支がとんとんの状況であり、少しでも収入が滞ったらすぐにでも資金繰りがショートする綱渡りの状況であった。これは税理士からも度々指摘されていた。事業の多様化なども検討してみたが、売上げが住宅メーカーからの受注次第という構造的な問題を解決するには足りなかった。なにより、税金の滞納はいかんともしようがなかった。

今なら、何とか従業員に対しては少なくとも予告手当を含め、給料を支払うことはできる。しかし、来月になると、そうもいかない。破産手続を選択するには今しかない。家族の理解もある。

「破産することに決めました。ついては、これからの手続を教えて下さい。」

弁護士は、まっすぐとA氏の目を見ながら話した。

「分かりました。重大な決断ですね。色々と考えたのでしょう。」「家族への説明は大変だったのではありませんか?」

「大変というより、拍子抜けでした。むしろ、自分自身が迷っていたことがわかっただけでも収穫でした。」「家族にはむしろ背中を押してもらえました。生活をこれからどうするかについて具体的に考えるきっかけにもなりました。」

「そうですか。理解のあるご家族でよかったですね。手続が進むに連れて理解を示してくれる家族もいるのですが、最初の説明は難儀ですからね。」

「ところで、あなたは会社の負債の連帯保証人になっていますね。」

「はい。これも決断を迷わせる理由の一つでしたが、今は覚悟を決めています。私自身も破産します」

「他に連帯保証人になっている人はいませんか?また、あなたや、会社に対して貸付をしている親族や知人はいませんか?」

「私が会社に貸付をしている形になっているものはありますが、親族や知人から借入をしているといったことはありません」

「親族や知人といった私人から借入をしている場合、破産手続において少し丁寧な対応をする必要がありますからね。いないということであれば大変結構なことです。」

「また前回の相談で、できるだけ内密にという話をしましたが、それは守られていますね。」

「私の腹心の部下にしか話していません。従業員には話していません。申し訳ないのですが」

「確かに心苦しいですよね。ただ、ここで破産手続の話をしてしまうと、情報が千里を走ります。債権者が回収に来たり、差押のきっかけになってしまいます。また、従業員も不安になり、営業を継続できなくなる可能性があります。売掛金の回収ができなくなることは避けないといけません」

「そうですよね。最初はよく分かりませんでしたが、実際そういう立場になってみると先生のおっしゃっていることはよく分かります。」

弁護士は書面に目を向けていたが、再び視線をA氏に向けた。

「では最初に何をするかを説明します。まずは、私と委任契約を締結する必要があります。」「委任契約とは、弁護士である私とミナト木材加工株式会社代表取締役であるあなたとの間で、法律業務を委任することを内容とするものです。今回であれば、破産手続に関する法律事務ということになります。」

「法律事務とはどこまでを含むのですか?」

「具体的には、破産手続開始申立の手続一切、例えば申立書の書類作成、必要な資料の準備、申立にかかる裁判所との折衝などがあります。次に、破産手続開始決定後の手続一切、例えば債権者集会への立会い、破産管財人との打合せへの立会い、管財人から依頼された資料の準備、報告書等の書面の作成、新たな債権者が見つかった倍の破産管財人への報告、書面作成、建物明渡の立会い等多岐にわたります。」

「色々と多くてすぐには分かりませんが、要するに破産手続について最初から最後まで面倒を見てくれるということですかね?」

「おおざっぱに言えばそうです。ただ、何でも全部ということではないですよ。例えば書類などの所在を知っているのは、あなた自身ですよね。また、事情を説明したり、債権者集会での発言を求められたりした場合は、あなた自身が話さないといけません。もちろん、こうした場合に備えて十分にアドバイスはしますが、全てを任せてOKということではないので、念のため」

「分かりました。」

「次に大事なことを言います。破産手続の委任業務に関する報酬つまり手数料です」

「会社つまり法人の破産手続についての手数料ですが、私の事務所では概ね100万円を基準として考えます」

「修正要素としては、法人に留保されている財産の額、債権者の数、債権総額、ようするに手続の煩雑さを勘案します。ただし、手数料の額については、代表取締役つまりあなたに対して十分に説明をした上で、決めることになりますので、ご安心下さい。また、この手数料は破産手続が裁判所にかかったあと選任される破産管財人からもチェックを受けることがあります。」

「本件については、すでにいただいた資料からすると、 製造業の性質上機材や材料の処分等若干の「力仕事」が必要ではありますが、債権者の数も平均的、金融機関が主たる債権者であること、法人としての財産も売掛残を含めても多額とまでは言えないこと、などを考えると、特別手続が煩雑であるとは言えないので、基本の金額である100万円を基準に考えたいと思っていますが、いかがですか?

「いまここで払わないと行けないですか?」

「今ここで払う必要はありません。会社の財産状況がはっきりした時点で、破産手続の申立に支障がない前提でいただきます」

「分かりました」

「他に質問がありますか?分からないことがあれば何でも聞いて下さい」

「手数料については分かりました。他にどんな費用がかかりますか?」

「法人の破産については、他に申立にかかる実費、例えば全部事項証明書、つまり謄本の取りよせ等の行政文書の取りよせにかかる費用、裁判所に払う印紙や預ける郵券といった純粋な実費がかかりますが、最終的には実費と代理人手数料を差し引いた残額は全て裁判所に財産として申告する必要があります」

「また、予納金として最低20万円は預けないといけません。このあたりのやりくりも破産手続の申立には必要ですね」

「あの、、つかぬことをお伺いしますが、弁護士報酬には着手金と報酬があると聞いているのですが、今回も事件が終わったら報酬が発生するのですか?」

「これは事務所によりますが、私の事務所では、法人は破産が終了したら法人格自体がなくなってしまうということで、報酬を頂戴しない方針としています。つまり、破産手続については手数料をいただいたら、他の報酬関連の支出はないとお考え下さい」

「よく分かりました。ただ本件では、住宅メーカーから損害賠償請求がなされましたよね。これを争って売掛金を回収するということになった場合はどうなりますか?」

「これは別事件になりますので、もしも会社を続けていく前提で提訴するなどする場合は別に着手金と報酬が発生しますが、今回は会社の存続を前提としないので、原則としては破産手続の中で処理されることになろうかと思います。」「何か分からないことがあったら、途中でもいいのでいつでも質問して下さい」

「分かりました。それでは先生に法人の破産手続と私自身の破産手続をお願いしたいと思います」

「承知しました。それでは、今から委任契約書と委任状を作ってきますので、少しお待ちください」

弁護士は、会議室を一旦退出し、委任契約書と委任状を持って再び戻ってきた。

「それでは、委任状を読み上げますね。重要なことが書いてあるので、一つ一つ説明しながら読みます。何かあったら何でも質問して下さい。」

弁護士はそう話すと、「委任契約書」と書かれた紙をA氏に示し、順番に読み上げをしていった。

次に続く