千歳・大石法律事務所は横浜・関内の法律事務所です。

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アルストロメリア
ガーベラ

紫陽花


紫陽花の美しさにうっとりしています。



春到来!
そろそろ桜も咲きますね、とても楽しみです。


(これからお話しするストーリーは手続を説明するためのフィクションであり、「ミナト木材加工株式会社」も特定の会社を想定したものではありません)
イントロダクション
A氏の場合①

A氏の場合②

A氏の場合③

4 状況の変化


A氏は国税局の意図を計りかねていたが、弁護士からは何か変わった情報があったら教えてくれと言われていたので、取り合えず弁護士に電話でことの次第を伝えたうえで、相談することにした。


「国税局?」


しばらく考え込んだ弁護士はA氏に対し

「こうなると、動きだしは早いほうがいいですね。1月25日が相談予定日でしたね。例えば明日の21日はいかがですか?」
と相談日程の変更を求めてきた。


A氏がまだ完全には書類の準備ができていない旨を話したところ、弁護士は


「国税当局が動いているということは、すでに御社の資金繰りが悪化し、場合によっては破綻する可能性がある、ということを察知している、ということです。
それ自体は何らおかしいことではないのですが、仮に国税当局が『滞納処分』で御社の口座や取引先の売掛債権を差し押さえてしまったら、破産や民事再生をするとしても、資金すら足りなくなってしまう可能性があります。ですから、できるだけ早めに打合せをして、会社の状況を把握する必要があるのです」
と説明した。

A氏が「破産や民事再生にはそんなにお金がかかるのですか」と話すと、弁護士は


「お金がかかるからといってひるむ必要はありませんよ。
ただ、破産では申立にかかる弁護士費用のほかに、裁判所に納める『予納金』が必要ですので、スムーズに破産手続きを進めていくためにはある程度の軍資金が必要なのです。
民事再生の場合は、さらに当面の営業を支える資金が必要となります。」
と話し、破産手続や民事再生手続にはある程度の資金が必要であることを説明した。


A氏が、

「軍資金を貯める必要性については分かりました。でそれと国税局の滞納処分との関係は?」と尋ねると、弁護士は


「会社の財産に対して国税滞納処分がすでになされている場合、破産手続開始決定があっても手続の続行は妨げられないとされています。これが通常の「差押」と異なる点です。逆に破産手続が開始してしまえば、原則として滞納処分はできなくなるので、滞納処分で売掛債権などが差し押さえられることで予納金が足りなくなるなど切羽詰まった場合は、できるだけ早めに破産手続きの申立てをする必要が生じてくるのです。もちろん、予納金の確保がすでにできている場合はその必要はありませんがね。」
「ですから書類は用意できたものだけでよいので、とにかく社長の話を聞かせて下さい。」


弁護士の口調は物腰柔らかであり、A氏をリラックスさせようとしているのか、時に冗談なども交えていたが、ただその言葉にはある種の厳しさが含まれていた。


A氏は、当初の予定を早めて1月21日に弁護士事務所で打合せをすることにした。
電話を切った後、A氏は、自分の意思とは無関係に変化していく状況に言いようのない不安をおぼえた。
この不安は何だろう?会社がなくなることの不安?自分の生活が脅かされることの不安?不名誉な事態が生じる可能性に対する不安?
その時A氏は弁護士から言われた言葉を思い出した。


「あなたは多分不安でしょうね。でもそれは何よりもあなたに情報が足りないからです。決断するにも何するにも、将来に対する不確定要素をできるだけ取り除いておく必要があると思いますよ。それでようやく覚悟が決まるのです。経営者としての覚悟がね。」


そして1月21日の相談日が訪れた。
次回に続く


月曜日のお楽しみ。
今週のウェルカムフラワーです

アルストロメリア(キッス)
黄色いラナンキュラス
金魚草

金魚草がとても綺麗です。