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「これではなかなか話合いはできませんね」
このような言葉を調停委員から言われるとしたら、これは調停不成立(不調)のサインです。


1 調停不成立になる場合
これまでお話ししてきましたように、離婚調停は、あくまでも当事者の合意形成を図る手続ですから、例えば相手方が離婚に一切応じる意思がない場合は、初回の調停期日の段階で、話し合いをしても意味がないと判断され、調停が不成立になる場合があります。
わざわざ調停のために家庭裁判所に来て、不成立というのは無駄足のような気がしますが、早い段階で不成立というのは、ちらほら見られるものです。


2 調停前置主義
なお、早期の不成立というのは、「調停前置主義」という制度も一つの原因となっています。
つまり、我が国の法律では、離婚で揉めた場合、いきなり裁判を起こすことはできません。
まず家庭裁判所に調停の申立を行う必要があります(家事審判法18条1項)。
裁判を起こす前に調停を起こさなければならない、という制度のことを「調停前置主義」、「調停先行主義」といいますが、これは要するに離婚問題は家庭の問題ですから、公開の法廷で争う前にまずは話し合いの機会を設けるべきだ、との要請に基づくものです。
ただ、これは逆に言えば、離婚問題で対立が激しく、裁判によらなければ解決ができない場合でも調停を起こさなければならないことを意味しますので、時に形だけ調停を開いてすぐに不成立で終了という場面が生じることになるのです。


3 次回の期日が指定される場合
さて、これまで調停不成立になる場合についてお話ししましたが、それ以外の場合は、もう少し話し合いを続けてみましょうということで、次回の期日が定められることになります。


(1) 次回期日の定め方期日の定め方ですが、申立人、相手方と調停委員との話し合いの中で、次回期日の調整の話が出てきますので、まずは、その場に立ち会っている当事者との間で、次回期日の候補日を決めます。
そして候補日が定まったら、調停委員の先生が、他方当事者が待機している待合室に確認しに行くなどして、都合を確認します。
その後(他方当事者に確認する前のこともあります)、調停室の空きを確認して問題がなければ、次回期日が決定です。


(2) 次回期日に向けての確認
次回期日が定められますと、次は今回の調停の内容の確認と次回の調停期日で話合われることの確認がなされるのが通常です。
その内容はケースバイケースですが、例えば
「次回は親権について話し合いたいので、実際に監護している方は監護状況を説明できるようにしておいてください、監護をしていない方は、具体的な受入態勢を説明できるようにしてください」
であるとか、
「次回は少なくとも婚姻費用については合意したいので、お互いに○年分の源泉徴収票を持ってきて下さい」
といったようなものです。
少しシビアな話になると、
「次回までに離婚を認めてもいいかどうか、考えてきて下さい」
といった宿題が与えられることもあります。
このように調停期日のなかで次回の話し合いの内容や宿題について確認されるのは、調停はおおよそ1か月1回のペースで開かれることが多いので、話し合いが空転してしまうと、調停の成立がそれだけ遅れてしまうことになるからです。
言い換えればその日の調停での話し合いの成果が反映されるとも言えるわけで、調停当事者としては、自分の話がちゃんと聞いてもらえたかどうかのメルクマールにもなるわけです。
逆に自分の話が伝わっていない、与えられた宿題が難しい、できれば交通整理をして欲しい、ということになった場合は、弁護士に代理人になってもらうことを考えなければなりません。