離婚調停が始まり、いよいよ調停委員から事情を聞かれる段階に入りました。
さて、何が聞かれるのでしょうか。
なお、これからお話しすることは、夫婦関係調整調停(離婚)が申し立てられたことを前提としております。
離婚に関わる調停はその他にも例えば婚姻費用分担調停や、年金分割の割合を定める調停、親権を定める調停、慰謝料請求の調停、離婚後の紛争調整の調停など色々ありますが、今回は夫婦の一方(申立人)が、離婚を求める典型的な調停を前提としておりますので、ご了解下さい。
さて、離婚調停では、最初に申立人から事情を聞かれるのが通常です。
聞かれる内容としては多岐にわたりますが、典型的なところとしては、
① それまでの婚姻生活の内容
② 婚姻生活の不満の内容③ 離婚を決意するに至ったきっかけ
④ 現在の生活状況(例えば別居中か同居中か)
⑤ 相手方から婚姻費用は支払われているか、あるいは相手方に婚姻費用を支払っているか
⑥ 今回の調停に至るまでに相手方との間でどのような話がなされたか、これに対する相手方の回答は何だったか
⑦ 今回の離婚に関して相手方は同意しているか
⑧ 離婚後の婚姻生活についてどのように考えているのか
⑨ 子どもがいる場合、親権についてどのように考えているか、具体的な養育の方針は?
あたりになります。
もちろん、始めからこれらの全てが聞かれるとは限りませんし、それこそ事件によって聞かれる内容も変わってくるわけですから、あくまで目安として理解して下さい。
ただ、一つ注意して頂きたいことは、調停はあくまでも話し合いの場であり、闘いの場ではない、ということです。
調停の代理人として立ち会っていますと、中には調停を完全な戦闘の場と割り切り、始めから聞かれることを予想し、詳細な書面を作成してそれをはき出す当事者がいらっしゃいます。
しかし、調停委員も相手方も人の子ですから、このように前掛かりで話をされると、やはり少し引いてしまいます。
交渉の技術には色々なものがありますが、少なくとも調停の場では、私の経験上、がむしゃらに説明してもうまくいきません(もちろん、私自身も代理人として説明に時間をかけたりしますが、それはコントロールされた態度であり、ここで詳しく説明をすることが、交渉の進展に資するとの目算があってのことです)。
あくまでも調停委員は申立人である本人の素の姿を見たいと思っているし、申立人の話し方や話す内容から両当事者の中に存在する問題点をくみ取っているわけですから、そういう空気を感じ取り、適宜微調整をしながら、自分の話を聞いて貰うことが必要なのです。
戦うという気持ちがあることは否定しませんが、あくまでも交渉の場であるという視点は失わないことが大事であると考えます。
さて、調停委員からの事情徴収はおおよそ30分程度ですが、初回についてはもう少し長くなるかも知れません。
待ち時間も含めて長丁場になりますので、精神的に疲弊しないよう、自己コントロールをすることも必要ですね。