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調停初日。
一番緊張する瞬間ですが、さて、調停ではどんなことが行われるのでしょうか。
すでに、離婚と年金分割⑤(調停や審判等を利用した分割割合の決定)でも簡単に調停手続を説明しておりますが、今回はもう少し具体的にお話しすることにしましょう。

1 家庭裁判所に着いたら何処に行けばいいのか
まず、家庭裁判所で調停が行われるといっても、実際調停がどの部屋で行われるのか、調停が行われるまでどこで待っていればいいか、わかりませんよね。
そこで、特に調停初日は、家庭裁判所に行ったらまず、調停を担当している書記官室に行くことが重要となります。
その書記官室が分からない場合は、受付があればそこで聞いてもいいですし(横浜家庭裁判所の本庁には入り口入って左手に受付があります)、近くの事務室で聞いてください。
ちなみに東京家庭裁判所や横浜家庭裁判所のような大規模、中規模庁では、調停係が複数ある場合があります。
この場合は、事件番号(「平成○○年(家イ)○○○○号」という体裁で書かれている番号)を伝え、担当調停係を確認することが必要となります。

2 書記官室で伝えるべき内容
さて、調停を担当している書記官室では、まず名前と調停開始時間を伝え、さらに自分が申立人の立場なのか、相手方の立場なのかを伝えて下さい。
そうすると、通常は、「待合室○番でお待ち下さい」、「申立人待合室でお待ち下さい」、「相手方待合室でお待ち下さい」など、待機場所を指示されますので、指定された待合室に向かいます。

3 待合室の雰囲気
待合室ですが、一般的には居心地のいい場所ではなく、狭い空間に所狭しと長いすが並んでいる様な場所です。
少し古びた病院の待合室をイメージして頂けるとよろしいかなと思います。
待合室ですが、小さな支部のようなところでは自分一人しかいないこともありますが、一般的には先客がいます。
調停の当事者ですから、皆さん色々と考えるところがありますので、余り明るい雰囲気ではありません。お互いに干渉しないのがマナーですね。
なお、待合室でよく話す人がいるとすれば、その多くは代理人です。やはり落ち着かない場所なので、雑談をしたりして依頼者である当事者の気持ちを楽にしてあげようとしているわけです。

4 調停委員からの呼び出し
さて、待合室で暫く待っていると、調停委員が時間になると呼び出しに来ます。
最近はプライバシーの問題もあるので、番号で呼ばれたり、小声で呼んだりするところもありますね。
この点に関し、トイレにたまたま行っていて呼び出しの時に待合室にいなかった場合はどうするのかしら、との相談を受けることがありますが、余り心配はいりません。
1回目にいなくても、しばらくたってからまた呼び出しに来るのが通常ですし、いつまでたっても呼び出しに来ない場合は、もう一度書記官室に行って調停委員に連絡をとってもらえばよいのです。

5 調停室の雰囲気
さて、調停委員に呼び出されて、調停室に向かいます。
調停室は一般的には、小さな会議室くらいの大きさで、長机と数個の椅子があるくらいのいたってシンプルなものです。

6 調停初日での最初のやりとり
調停室に入ると、調停委員の先生が座って待っています。
その他、初回の場合は始めから審判官(裁判官)が向こう正面の中央に座っていることがあります。
これは、調停はあくまで主として審判官と調停委員とで構成される「調停委員会」によって行われることになっておりますので、特に調停初日の場合は、けじめの意味で審判官が手続の進行についての説明をすることがあるからです。

 

調停手続の進行についての説明ですが、おおむね以下のような事項について説明されます。
① 調停は、調停委員会(審判官と2名の調停委員)が担当すること
② 調停は、裁判とは異なり、あくまで話し合いによって問題を解決する手続であること
③ 調停では自分の意見を率直に調停委員会に伝えて欲しいこと
④ 調停はあくまでも話し合いによる解決を目指す手続なので、互いに譲れるところがあれば譲り合った上で、双方にとって納得の行く解決を探っていく必要があること
⑤ 調停は、通常は、まず申立人から話を聞き、その後相手方から話を聞くというかたちで入れ替わりで行われること、それぞれの当事者から話を聞く時間はおおよそ20分から30分程度であること
⑥ 調停に要する時間としてはおおよそ1~2時間を予定していること
⑦ 調停は1回で終了するわけではなく、解決のためには複数回開かれるのが通常であること
⑧ 調停は非公開の手続であり、調停委員はそれぞれ守秘義務があるので、話した内容が外部に漏れることはないから、安心して話して欲しいこと
⑨ 当事者間で合意ができた場合は、調停委員会で内容を検討した上で、最終的には審判官(裁判官)立会の上で、調停が成立することになること
⑩ 調停が成立した際に作成される「調停調書」は、裁判の判決と同様の効力があり、場合によっては強制執行も可能になること
⑪ 調停は取り下げが可能であるし、不成立の可能性もあること
⑫ 調停は不成立の場合は、審判や裁判といったその後の紛争解決方法が用意されていること。
ただ、このような説明が全て過不足なく行われるとは限りませんし、調停の説明書が配られた上で、それを読んで下さい、というかたちで簡潔に説明される場合もあります。
また、代理人の弁護士が付いている場合は、説明が省略されるのが通常です。
ただ、この説明には、いくつも重要なことが書かれているので、できれば十分に理解した上で調停に臨んでもらいたいものですね(なお、当コラムでも折に触れて説明する予定です)。
それでは、次回は、調停初日で行われるやりとりについて説明いたします。