離婚調停の手続について引き続き説明いたします。
今回は、調停期日の定め方、調停が行われる場所の事前調査についてです。
なお家庭裁判所における手続の流れや運用は、例えば家庭裁判所の建物の構造やマンパワー、運用、極端なことを言えば家庭裁判所の所長の個性などによっても変わってきます。
これから説明する内容は、あくまで一般的なものですので、ご了解下さい。
1 調停期日の変更
(1) 調停期日の指定
まず、離婚調停が申し立てられると、通常申立から3週間ないし1か月前後を目処として調停期日が定められます。
ただ、この調停期日がいつ指定されるかについては、かなりばらつきがあり、例えば私の経験した例では、調停申立から第1回の調停期日まで3か月以上期間があいてしまった事例もありました。
裁判所の夏季休廷期間や調停室の空き状況などによって変わってきますが、余りに期日指定が遅れているようなら、一度家庭裁判所に問い合わせてみるといいでしょう。
調停期日は、通常、午前の枠か午後の枠のどちらかで開かれます。
出頭時刻ですが、午前の枠であればおおよそ午前10時から午前10時30分ころ、午後の枠であれば午後1時から午後1時30分ころです。
なお、出頭時刻が申立人と相手方とで異なることがありますが、これは当事者同士が裁判所内で直接会わないようにとの裁判所の配慮です。
特にDV(ドメスティックバイオレンス)の事案などでは、待合室の場所や出頭時間に至るまで、事故が起きないように裁判所はかなり神経を使ってくれます。
いずれにしても、調停申立の際に、裁判所に対して「相手方本人と会いたくないので配慮をお願いしたい」と伝えておくことが重要です。
(2) 都合が悪い場合
さて、調停が申し立てられると、調停期日が定められますが、相手方にとっては一方的に期日が定められ、呼び出されることが多いので、その期日に出頭できないこともあります。
この場合は、やはり裁判所に連絡して調停期日を改めて調整して貰うことを考えて下さい。
といいますのも、調停は当事者の話し合いの手続であり、原則として当事者が出頭することが前提とされていますので(本人出頭主義、家事審判規則5条1項本文)、裁判所も当事者双方が出頭できるように配慮してくれることが多いからです。
この点が通常の訴訟手続と異なるところです。
なお、調停期日の変更の申し出それ自体が裁判所の心証を害しないか、心配される方もおりますが、杞憂です。
(3) 調停期日の変更が認められない場合
ただし、調停には調停委員の都合や調停室の空き状況なども関係してきますので、常に期日変更が認められるわけではありません。
「とりあえず、申立人本人から話を聞きますので、次回(第2回調停期日)以降の都合のよい日時を教えて下さい」
とあっさり言われて調停期日の変更が認められない場合もしばしばありますので、必ずしも思い通りにならない場合があることは予め知っておいて下さい。
なお、調停では思い通りにならないことが多々あります。調停期日の変更が認められないことくらい序の口ですので、ここでいらいらしないことが大事です。
2 裁判所の場所の把握
さて、ようやく定まった調停期日ですが、おそらく多くの方にとって余りご縁のない家庭裁判所、場所もうろ覚えのことが多いですよね。
裁判所の場所は例えば丘の上であったり、市街地から遠く離れていることもありますので、長年の土地勘だけではどうにもなりません。
それで調停期日に遅刻するようでは目も当てられませんね。
ですから家庭裁判所の場所については、予め地図などで確認しておくことが必要です。
実は私も裁判所の場所がわからず迷ったことがあります。そのため、それ以後は、やむを得ず、保険でタクシーを利用したりするのですが、タクシーの運転手も「地方裁判所」と「家庭裁判所」の違いが分からないことがあり、一度、とんでもないところに連れて行かれたことがあります。
その時は30分くらい余裕があったので、事なきを得ましたが、冷や汗をかいた記憶があります。
皆さんも注意して下さい。
また裁判所といっても、本庁と支部があります。
例えば、神奈川県の家庭裁判所も、横浜市にある家庭裁判所の本庁のほか、川崎と相模原、横須賀、小田原にそれぞれ支部があります。
間違って支部なのに、本庁に行ったりしないように注意して下さい。
以上、調停に際して注意すべき最初の関門である、調停期日と裁判所の場所の把握、について説明しました。世の中に色々と調停に関する情報が出回っていますが、案外調停期日や調停の開催場所といった基本的なことについての説明が足りないような気がいたしましたので、あえて本コラムで取り上げてみました。