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前回は、別居後、離婚が成立する前に夫婦共同財産が処分されることをどうやって防止するのか、について説明いたしましたが、今回は、別居前に一方配偶者によって夫婦の財産が処分された場合、どのように対応するかについて説明いたします。
この問題については、明確な答えがあるわけではなく、それこそケースバイケースになります。
1 事前の対策
まず、事前の対応としては、形式上は「審判前仮処分」の線があります。
しかし、今回は別居前の話であり、離婚の蓋然性がどこまで認められるか若干疑問です。
いずれにせよ、別居後の申立にくらべてハードルが高いことは否めません。
そのため、この問題についてはどちらかというと予防法務的な対策、例えば、一方当事者の預金の残高や推移を逐一確認しておく郵便物の種類に敏感になる(例えば株式を購入していたならば、4月頃から6月頃にかけて株主総会招集通知が来ることが多いので、それで購入の事実がわかります。投資信託も同様です)などが中心となります。

2 事後的な対策
事後的な対策は一層限られてくるのですが、まず、ある銀行から他の銀行に財産が移されていたような場合は、移された先の銀行の預金が財産分与対象となるわけですから、まずその口座を発見することが先決となります。
既存の銀行口座で何か変わった点はないか、例えば知らない口座の記載はないか、光熱費の自動振込口座に変更はないか、そういった違いを発見し、新しい口座の発見に結びつけます。
次に、財産が親族など第三者の口座に移されていた場合ですが、これについては、なかなか対処が難しいですね。
ただ、裁判所もこの問題には関心があるようで、「破産における否認権行使と同様の扱いが適用される」として、移された財産についても分与の対象となると判断した裁判例も中にはあります。
この点、「破産における否認権行使」とは、要するに破産手続開始決定前に、破産債権者を害する行為があった場合、例えば、財産隠しなどがなされたような場合に、一旦流出した財産を事後的に取り戻す制度であり、その趣旨からすれば、破産における否認権行使と、別居前に流出した財産の取り戻しとは同様に理解できると裁判所は考えたのでしょう。
かなりテクニカルな方法であり、一般的であるとは言えませんが、そのような考え方もあるということで、紹介いたしました。