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離婚と年金分割の続きです。

前回は年金分割の対象となる年金は老齢厚生年金(共済年金)であり、老齢基礎年金や確定拠出年金などは分割の対象にならない、という話をいたしました。

今回は、どのようにして年金を分けるのか、制度をかいつまんでご説明いたします。

まず、年金分割制度には、合意分割制度と3号分割制度があります。

ここで大体多くの説明は「合意分割制度」から始まるのですが、便宜上「3号分割制度」から説明することといたします。

1 3号分割制度

まず、「3号分割制度」というのは、夫婦が平成20年5月1日以降に離婚をした場合で、平成20年4月1日以降に、国民年金の第3号被保険者期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)がある場合に、平成20年4月1日以降の第3号被保険者期間における年金(正確には「年金記録」)を分割するというものです。

この場合、年金の按分割合(平たく言えば分割の割合)は、当然に2分の1となり、当事者の同意はいりません

まず「第3号被保険者」とは何か、というのがわかりにくいですよね。

第3号被保険者とは、ものすごくわかりやすくいえば、会社員や公務員など「給料取り」

に扶養されている配偶者のことをいいます。

ちなみに、会社員や公務員といった「給料取り」は第2号被保険者といい、私のような自営業者や学生は、第1号被保険者といいます。

よく、「扶養」から外れないようにパートタイマーやアルバイトなどの働き方を調整する方がおりますが、これは、第3号被保険者から外れないようにすることも理由の一つとしてあるわけですね。

さて、こうして会社員や公務員などに扶養されている配偶者のことを第3号被保険者といいますが、この資格を有する方が離婚をした場合は、少なくとも平成20年4月1日以降、離婚するまでの第3号被保険者期間中の年金(厳密には年金記録)は、当然に2分の1に分割されるわけです。

例えば、平成20年10月1日に結婚し、平成25年5月31日に離婚した夫婦がいたとします。この場合、仮に元妻が婚姻期間中一貫して夫(サラリーマン)の扶養に入っていたとすれば、婚姻期間中の夫の年金(年金記録)は当然に2分の1に分割されます。

このように、3号分割制度は、当事者が同意をしなくても当然に年金(年金記録)が2分の1に分割されることになるので、とても簡単で楽であるといえます。

しかし、そこには重大な落とし穴があります。

もう一度思い出して欲しいのですが、3号分割制度は、平成20年4月1日以降の年金(年金記録)に対して適用されます。つまり、平成20年4月1日以前の年金記録については、当然に2分の1で分割されるわけではないのです。

とういうことは、例えば平成10年に結婚した夫婦が平成25年5月に離婚した場合、平成20年4月1日以降の年金(年金記録)については、3号分割で2分の1の按分で分割がされますが、逆にいえば、平成20年4月1日より以前の年金記録について分割するには、別途後に述べる「合意分割制度」を利用しなければならないのです。

それから、3号分割制度の対象となるのは、平成20年4月1日以後の3号被保険者期間の年金記録だけです。ということは、平成20年4月1日以後であっても、例えば給与を得るなどして扶養から外れてしまい、3号被保険者出なくなった期間がある場合は、この期間の年金記録については、やはり後に説明する「合意分割制度」を利用しなければなりません。

一見便利なようで、その適用には時間的にも内容的にも制限がある「3号分割制度」。

そのようなわけで、今仮に離婚をされる方は、多くが次にお話しする「合意分割制度」を利用することになります。

(次回に続く)