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さて、離婚事件の相談(相談者編)の続きです。
これまでは、離婚事件に関わる心の問題と絡めて、法律相談に臨む場合の心理面での準備についてお伝えいたしましたが、次は実際に法律相談に臨む際の具体的な準備についてお話しすることといたします。
(今回は便宜上、離婚を求めて相談に来られる方を対象にさせていただきます。)
まず、お伝えしておきたいのは、初回の法律相談では詳細な資料を準備する必要はないということです。
敢えて言えば、簡単な時系列表であるとか、戸籍謄本であるとかそういった資料があれば助かりますが、それがなくても心配いりません。
ただ、以下の事情について事前に整理をした上で相談に臨んで頂くと、弁護士としてもかなり具体的なご説明をお伝えすることができます。
まず第1に、別居の有無、別居の時期です。
消極的破綻主義だとか、そういう難しい問題はともかくとして、現在離婚で紛争が生じた場合に、その夫婦を離婚させてもよいかを判断するに際し、一番最初に考慮されるのは別居期間であると言われています。
例えば、相談に来られた方が離婚を求めてきているとして、まだ別居していない場合は、相談を受ける弁護士としては、何か他に離婚ができるような事情はないかな、ということでもう少し細かい事情を聞こうとします。
つまり、別居していないと、それだけでは離婚が認められる可能性が低いので、それ以外の離婚を相当とする理由を見つける必要がある、ということなのです。
他方、別居期間が数年に及んでいる場合などは、原則として離婚が認められる可能性が高いなということで、見通しを伝えることができます。
ですからまず、私が関心を持っているのは、別居期間ということになります。
第2は離婚原因、要するに離婚を決意するに至った経過です。
離婚の相談に来られる方はそれぞれ様々な悩みを抱えており、私は、初回相談では、時間の許す限り相談者の話、特に離婚に至った経緯について耳を傾けることにしております。
ですから、最初の相談では、とにかく今考えていることを簡潔に説明することだけを心がけていれば大丈夫です。
なお、離婚原因にもある程度勘所というものがあります。
例えば、離婚を決意するに至った時期はいつか、その直接の原因は何か、不貞行為や暴行を裏付ける証拠はあるか、といったところです。
勿論これらの事情を意識してご説明頂ければ大変結構なのですが、あまり意識しすぎると本音の部分が見えなくなることもありますので、まあ、そういうものだと理解しておくだけで十分であると思います。
離婚原因などの事情をお話し頂いた後は、いよいよ弁護士からの見通しなどの説明となります。
そこで厳しい見通しも伝えることもありますが、「弁護士の見分け方」でも説明したとおり、リスクを伝えることも弁護士の仕事ですので、嫌がらずに聞いて下さい。
その後、時間が許す限り、本件離婚事件に対応するための具体的な方法についてお話しします。
例えば、離婚をするにあたっての具体的な手続であるとか、必要な書類の準備、予想される費用の内訳、仮に弁護士に事件を依頼するとした場合の費用などについてです。
このような説明が一通り終わった後に、今後の対応について考えていくことになります。
以上が初回相談の流れです。弁護士事務所は敷居が高いと言われますが、相談をして気持ちが楽になることもよくありますから、まずは弁護士に話を聞いてもらう位の気持ちで相談に来られてみてはいかがでしょうか。