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横浜・関内 千歳・大石法律事務所

千歳法律事務所代表の千歳です。
さて、先日「離婚関係事件の相談に臨むにあたって」というコラムを書きましたが、思いの外反響が大きかったので、今度は、相談者の側に立ち、離婚相談に臨むにあたってどのようなことを準備しておけばよいのか、についてお話しすることとします。
まず心の問題から説明いたします。
 離婚とは文字通り夫婦関係を解消することをいいますが、要するに「男女の別れ」ですから、そのストレスは相当なものになります。
例えば皆さんの中にも若い頃に異性との別れを経験した方が多くおられるかと思いますが、別れを切り出す側であっても、別れを言われる側であっても精神的に大変なストレスになりますよね。
 場合によってはストレスで鬱っぽくなってしまう人もいるわけです。
もっとも離婚と単なる「男女の別れ」とまず大きく異なるところは、それなりの期間生活を共にしていた男女の別れであるという点であります。
 離婚を求める側にとっても求められる側にとっても、離婚は要するにこれまでの共同生活に対する否定的評価を伴うものであり、平たく言えば、これまでの自分の人生の挫折です。
 特に短期で離婚した場合を除き、通常婚姻生活は数年数十年に及ぶものですから、この期間で積み重ねた有形無形のしがらみは大きいものです。
 このしがらみを離婚を求める側からいえば「荷物」であり、離婚を求められる側からいえば「未練」になりますが、このしがらみを精算しないことには離婚に対する心の解決を図ることはできません。
これが大きなストレスとなってのしかかってくるのです。
しかも離婚事件は、これに加えて、子供や年金分割など離婚以外の問題を解決しなければならず、かつ婚姻関係の解消するための面倒な手続きが必要となります。
この煩わしさは、子供に対する愛情云々の問題とは別に生じるものであり、ストレスの大きな原因となります。
さらに自分の経済的基盤によっては、離婚によるこれからの生活の不安という問題も生じることになります。
このように、離婚とは、共同生活の解消に伴うさまざまなストレスが重畳的に折り重なってくることになりますので、それを打ち勝つしなやかな精神力が必要となって参ります。
皆さんの中にはこんな精神力などないと思われるかも知れません。
 これに対しては、皆さんにはみな均等に時間が与えられていることを意識してみてください。
つまり離婚には様々なストレスが掛かりますが、何もこれらを一度に解消する必要はありません。
 段階段階で丁寧にことにあたっていく姿勢があれば当面はいいのではないかと考えます。
 といいますのも、離婚のストレスの中で一定のものは、時間の経過で軽快する場合が多いからです。
 つまり、時間をかけてじっくり離婚に向き合う忍耐力があれば、ストレスのかなりの部分が時間によって弱まっていくので、それほど萎縮する必要はないといえるのです。
また、離婚に対して対応する一つ一つの行為が、劇的に皆さんのストレスを解消させる場合もあります。
例えば、配偶者からの暴力や暴言で年中悩まされていた人などは、別居を実現することでかなりのストレスを解消させることができます。
 私の経験でも、相談に来られた当初はどんよりとしていた方が、別居が開始した瞬間から見違えるように晴れやかな表情になった方が多くおられます。
 もちろん個人差がありますので、必ずそうなるとは限りませんが、相談をすることで、見通しを教えて貰ったり、今後の行動について指針を与えて貰うだけでも心の重しがとれる方もおられます。
それから、離婚には、そのストレスを解消する様々な制度が設けられていることを意識して下さい。
 例えば年金分割は老後の資金繰りを改善させるものですし、養育費や面会交通といった制度もあります。
 これらの制度をどのように用いていくかは弁護士の得意分野ですので、相談をすることで、制度の存在を知り、それでストレスが軽減されることもあるのです。
以上のとおりですので、皆さんが離婚事件の相談に対しては、離婚そのものにはストレスが掛かることをまず受け止めていただき、そのストレスの原因を弁護士と探すぐらいの気持ちで臨まれるとよろしいかと思います。
このようなお気持ちをもつことで、弁護士とのコミュニケーションも円滑となり、次のステップである「離婚事件の準備」に取りかかることができるのです。
 (次回に続く)