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前回は離婚の届出について説明いたしましたが、今回は、「離婚後の氏」についてお話しします。
まず「氏」とは、戸籍に記載されている「氏名」の「氏」のことをいいます。
そして、現在の民法では、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」(民法750条)とされており、婚姻の時に話合って、夫が妻の氏を称するか、妻が夫の氏を称するか、を決めなければなりません。
これは裏をかえせば、婚姻により氏を改めた人は、離婚によって婚姻前の氏(旧姓)に戻ることを意味します。
これが原則です。
ただし、中には離婚によって婚姻前の氏に戻ることを望まない方もおられます。
改めた氏で長年仕事を続けてきており、いまさら旧姓に戻ると不都合な方などですね。
このような場合は、離婚の際に届出をすることによって、引き続き婚姻中の氏を称することができます。
その届出のことを「離婚の際に称していた氏を称する届」(戸籍法77条の2の届)といいますが、離婚の日から3か月以内という時間の制限がありますので、注意しなければなりません。
なお、この「離婚の際に称していた氏を称する届」は、離婚の届出と同時にすることができますし、本籍地で届出をする場合には戸籍謄本も不要なので簡単にできるのですが、一度届出をしてしまうと、後で改めて旧姓に戻りたいと思ったとしても、当然には戻ることができません
具体的には、家庭裁判所に「氏の変更許可」の申立をした上で、裁判所から許可を受けなければならないのです。
ですので、離婚時に氏をどちらにするかについては、よくよく検討の上で決めることが大事です。
この点ですが、弁護士の先生の中には、離婚が成立して一安心してしまい、こうした大事な点を説明しない方もいるかもしれませんので、皆さん自身が注意する必要があります。これまでは離婚をした当事者の氏の変更についてお話ししましたが、子の氏の変更は、また別ですので、次回にお話しすることといたします。