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離婚事件では、離婚の可否だけでなく、子供の親権であるとか、養育費、面会交通の問題に加え、慰謝料の請求や財産分与など多くの問題を一度に解決することが求められます。
特に財産分与は離婚当事者の間でもめることが多い問題であり、離婚そのものについては合意をしていたとしても、財産分与で折り合いがつかずに調停に持ち込まれるというのも多くあります。
ここで今回は離婚事件と財産分与をテーマとしてお話しいたします。
まず基本ですが、財産分与とは離婚した者の一方が他方に対して財産の分与を求めることをいい、それを大きく分けると清算的財産分与と扶養的財産分与、慰謝料的財産分与に分けられます。 この中で一番多く主張されるのは、清算的財産分与といわれるもので、要するに夫婦が共同して生活している中で作られた共有財産の清算を目的とする財産分与のことをいいます。
つまり、清算的財産分与で問題となる共有財産には、例えば夫婦の一方が結婚する前から持っていた財産であるとか、結婚後であっても親から相続した財産などは、含まれないわけです。
ちなみに、こうした清算的財産分与の対象とならない財産のことを一般に「特有財産」といいますが、実際の財産分与では、どれが特有財産で財産分与から外すかでもめたりするわけです。
なお、生命保険の解約返戻金(生命保険を解約した場合に払い戻されるお金、終身保険でよく問題となります)なども財産分与の対象財産としてよく問題となりますし、退職金や確定拠出年金なども現に退職していない場合でも、退職が近い場合である場合などは、仮に現時点で退職した場合に支給される退職金見込み額を前提に財産分与がなされることがあります。
もちろんこの場合でも、財産分与の対象となるのは、婚姻期間中に形成されたものに限られますから、生命保険金の解約返戻金や退職金見込み額についても、掛けている期間を分母、婚姻期間を分子として、割合的に計算した額が財産分与の基礎とされることが多くなされます。
実に理屈っぽいですが、理屈では割り切りにくい離婚事件の中で財産分与は理屈が通りやすい数少ない問題ですから、請求する側と抵抗する側がせめぎ合う中で、必然的に理論的な枠組みが整備されていくようになったわけです。
大体夫婦での財産管理は古今東西喧嘩のネタによくなりますが、おおざっぱに分けるとすれば、夫婦間でなれ合いで管理されているか、夫婦の一方が独断で管理しているかのどちらかであることが多いですよね。
夫婦関係が円満であればそれでも良いのですが、離婚となりますと、そういった曖昧さが排除されて理屈先行で分けられることになります。
そのギャップこそが、財産分与で当事者がもめる原因の一つとも言えるわけですね。